戦後のスター歌手・笠置シヅ子さん。
2023年の朝ドラ「ブギウギ」の題材となり、そのドラマチックな人生が再び注目をあびています。
笠置シヅ子さんは、34歳の時の「東京ブギウギ」が大ヒットを記録。
そのわずか10年後、43歳の時に歌手業を引退(廃業)されています。
年齢的にはまだまだ歌えたはずですが、歌手を辞めた理由は、一体なぜだったのでしょうか?
笠置シヅ子は紅白歌合戦で大トリを務めて歌手を引退!
朝ドラ「ブギウギ」のモデルとして再度注目を浴びている、戦後のスター歌手・笠置シヅ子さん。
笠置シヅ子さんといえば、昭和23年1月に発売した「東京ブギウギ」が大ヒット。
「ブギの女王」と呼ばれていましたが、その後の活動期間は、実はわずか10年ほどでした。
笠置シヅ子さんは、昭和31年(42歳)の年末に、NHK紅白歌合戦の赤組の大トリを務めて「ヘイヘイブギー」を熱唱。
当時の貴重な音源が、Youtubeにアップされています。
このパフォーマンスを最後に、年明けからは「女優業に専念する」と宣言し、歌手業をキッパリ引退したのでした。
最後のレコードは、昭和31年1月発売の「たよりにしてまっせ」(作曲:服部良一)です。
その後、この曲は「KinKi Kids」がカバーしたことでも有名ですね!
笠置シヅ子さんの歌手引退理由なぜ?歌手を辞めた理由3つ!
笠置シヅ子さんが、歌手を辞めた理由は一体何だったのでしょうか?
歌手引退理由を3つにまとめました。
①ブギの人気が落ちてきていた
笠置シヅ子さんの歌手を辞めた理由の1つ目は「ブギ人気が下火になってきていた」というものがあります。
もともと、「東京ブギウギ」は戦後の日本を力づける使命を持った曲でした。
しかし、徐々に戦後の復興が進んだことで、ブギ人気も下火になり、タンゴ、シャンソン、マンボなどが流行し始めていました。
さらに、当時の芸能界は、若手の人気歌手の勢いも。
特に、「美空ひばり」「雪村いづみ」「江利チエミ」は「三人娘」と呼ばれて人気を集めていました。
美空ひばりの「お祭りマンボ」などのマンボ系の歌がヒットすると、笠置シヅ子も「ジャンケン・マンボ」「エッサッサ・マンボ」と続くのですが・・・
笠置シヅ子のマンボがヒットすることはありませんでした。
若い勢力が台頭してくる中で、「ブギ」以上のヒットを生み出せず、笠置シヅ子自身も限界を感じたのでしょう。
②太りかけていた
そして、笠置シヅ子さんの歌手を辞めた理由の2つ目は、「太りはじめていて、以前のように踊れなくなった」というものでした。
これは本人が後年語っていたものです。
笠置シヅ子の魅力といえば、やっぱり歌とダンス。
ちゃんと踊れていれば太るはずがないため、「太りはじめた」という事実は「自分がパフォーマンスを維持できていないからだ」と痛感したようです。
「踊れなければ、自分の魅力がなくなる」ということを笠置シヅ子はよく理解していました。
世間が期待する「歌って踊れる笠置シヅ子」のパフォーマンスが出来ないのなら、「もう辞めよう」と潔く引退を決断したのです。
後年、笠置シヅ子は、引退を決断した理由をこのように語っています。
自分が最も輝いた時代をそのままに残したい。
それを自分の手で汚すことはできない。
自分に厳しかった笠置シヅ子さんらしい言葉であり、彼女なりの「美学」がそこにはあったのです。
③切り替えが早かった
さらに、笠置シヅ子さんの歌手を辞めた理由には、「切り替えが早くてサバサバした性格だった」というのもあったようです。
笠置シヅ子さんといえば、関西弁の陽気なおばさんというイメージを持っている人が多いでしょう。
一方で、実際の笠置シヅ子さんの性格は、
- 切り替えが早いサバサバ系
- 後悔や未練を引きずらない
という一面もあったんだとか。
もともとの性格もあったのかもしれませんが、笠置シヅ子さんの様々な人生経験が影響しているのではないでしょうか。
朝ドラ「ブギウギ」で描かれたように、
- 養子としての生い立ち
- 弟の戦死
- 戦時中の活動制限
- 最愛の人の病死
などの辛く苦しい経験を乗り越えてきた笠置シヅ子さん。
「いつまでもクヨクヨしていられない」という切り替えの早さがないと、彼女自身もしっかり立っていられなかったのでしょう。
その切り替えの早さは、朝ドラ「ブギウギ」のヒロイン・福来スズ子にも投影されていますよね!
また、愛する娘さんのためにも「しっかりと稼いでいかないといけない」という気持ちもあり、歌手業をキッパリやめて、女優としてコツコツと働くことを選んだのだと思われます。
このキャリア転換の潔さには、ビジネスパートナー服部良一さん(羽鳥善一のモデル)も、
ファンに最高の思い出を残して音の世界から消えてしまった
全く美事というほかない
と彼女の歌手引退の決断を讃えています。
そんな笠置シヅ子さんは、歌手を引退した後、「家でも一切鼻歌を歌わなかった」と娘さんが語っています。
笠置シヅ子さんの晩年については、こちらの記事でまとめています。
まとめ
今回は、戦後のスター歌手・笠置シヅ子さんの歌手引退理由についてまとめました。
朝ドラ「ブギウギ」になる前まで、笠置シヅ子さんが「歌って踊れる歌手」だったことを知っている人は少なかったはずです。
それは、40代前半にして「潔く歌手を辞めてしまった」という事実があったからでした。
ブギの女王・笠置シヅ子さんの引き際の美しさが、朝ドラ「ブギウギ」でもどのように描かれるのか楽しみです。
こちらの記事では、笠置シヅ子さんの歌手引退会見や引退公演の史実については、ご紹介しています。
笠置シヅ子さんの娘・亀井エイ子さんの現在については、こちらの記事でご紹介しています。
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